百円読書(税別)

百円で買った本を読み、ノートします。

Instagramに移行しました。

ブログだとちょっと機動性に難がありまして、 検討の結果、インスタグラムに移行しました。 hachiro86さん(@hachiroeto86) • Instagram写真と動画 どうなるかわかりませんが、trial&errorでやってみたいと思います。 よければ覗いてみてくださいませ。

#12 丸谷才一『夜中の乾杯』★★★

こういう人と一緒にお酒を飲んだら楽しいだろうな、と思えるような、極上の「雑談」集。 古今東西にわたり膨大な知識と教養があって、それをひけらかすことなく極上の部分だけを切り取って、うまく調理して差し出してくれる。ちなみに、「夜中の乾杯」だけあ…

#11 三島由紀夫『近代能楽集』★★★★

能楽についてはまるで明るくないのに、こんなの読もうとするのもどうかと思うが、読んだだけではどのへんが「能楽」なのかよくわからなかったというのが正直なところ。むしろ現代戯曲として秀逸な作品が多かった。 「卒塔婆小町」は、オリジナルが小野小町の…

#10 鈴木秀夫『森林の思考・砂漠の思考』★★★

冒頭で著者が指摘する、日本とヨーロッパの町のちがいがおもしろい。ヨーロッパの町は、高いところから見下ろすとたいへん美しい。一方、日本の町のほとんどは、上から見てもあまり美しくない。 ところが家の中に入ると、ヨーロッパの建物は「おそろしく不細…

#9 伊坂幸太郎『ラッシュライフ』★★★

偶然の一致というのは、小説や映画ではなかなか扱いにくい。現実では起こり得ることでも、フィクションだと「ご都合主義」と言われ、バカにされる。 伊坂幸太郎は、この「偶然の一致」を扱う名手だと思う。必然と偶然のすれすれのところを、この人は実にうま…

#8 内村鑑三『後世への最大遺物・デンマルク国の話』★★★★

本書に収録された2篇は、いずれも著者の講演録がベースになっている。そのためたいへん読みやすく、著者のメッセージがストレートに伝わってくる。冒頭では軽口を交えて聴衆を笑わせながら、徐々に語りの熱量が増していき、最後は聴き手(読み手)を巻き込…

#7 ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』★★★★★

子ども向けの本という言葉は、大人が読むには幼稚すぎたり、未熟すぎたりするといった意味で使われることが多い。でも「アリス」は、違った意味で「子ども向け」だ。この徹底した言葉遊びの応酬は、子どもこそがしんから楽しめるものだろう。大人になると、…

#6 『ホセ・ムヒカ 世界で一番貧しい大統領』★★★

実に変わった大統領だ。ゲリラ出身で投獄経験あり。車に乗る時は必ず助手席。儀礼を嫌い、自分で料理もし、報酬の大部分は寄付してしまい、そしてネクタイは絶対にしない。そんな男が、国民から「ペペ」と親しみを込めて呼ばれ、5年にわたりウルグアイの大統…

#5 宮部みゆき『初ものがたり』★★★

今や流行作家どころか大御所になってしまった宮部みゆきだが、本書は単行本初版が平成7年だから、初期とは言わないがまだ売れっ子になり始めたころの作品だ。ぴしりと結構が決まっていて、描写も過不足なく引き締まっている。それでいてじんわりとした味わい…

#4 中村靖彦『ウォーター・ビジネス』★★★

人は石油がなくても生きていけるかもしれないが、水がなければ生きていけない。にもかかわらず「地球上に存在する水を風呂桶一杯の水と仮定すると、人間が自由に使える水はわずか一滴」(p.24)。したがって、水をめぐる問題は今も世界中で起きているし、これ…

#3 マンスフィールド『マンスフィールド短篇集』★★★★

平穏に見える人生にも、必ずや小さな「裂け目」や「ほころび」がある。自分が見えていた世界だけが世界ではないことを突然発見したり、平穏が決して当たり前のものではなく、実は微妙なバランスの上にたまたま成り立っていたにすぎないことに気づく時がくる…

読書論1 わたしの読書の出発点

本の読み方は、本の選び方にはじまる。選び方にもいろんな方法はあるが、王道はやはり「芋づる」だと思う。今まで読んできた本が、次の本を決めてくれることが圧倒的に多い。見当がつきやすいし、だいたいまったく知らない著者や分野の本は選びようがない。 …

#2 呉智英『読書家の新技術』★★★

奥付をみると1987年初版と書いてあるので、30年前の「新技術」ということになる。読書カードや新聞書評の読み方、スクラップブックの作り方など、時代を感じる部分が多い。またそれとは別に、著者ならではの、というか、新聞記事への揚げ足取りや他の論者へ…

#1 西原理恵子『パーマネント野ばら』★★★★

古本屋の100円コーナーで売られている本には、どこか切なさがつきまとう。あんたはいらんと放り出された捨て猫のような。失礼ながら、本としての価値を否定されているかのような。でも、そんな「百円本」からも、読書の愉しみは得られるのだ。そんな「百…