百円読書(税別)

百円で買った本を読み、ノートします。

★★★

#12 丸谷才一『夜中の乾杯』★★★

こういう人と一緒にお酒を飲んだら楽しいだろうな、と思えるような、極上の「雑談」集。 古今東西にわたり膨大な知識と教養があって、それをひけらかすことなく極上の部分だけを切り取って、うまく調理して差し出してくれる。ちなみに、「夜中の乾杯」だけあ…

#10 鈴木秀夫『森林の思考・砂漠の思考』★★★

冒頭で著者が指摘する、日本とヨーロッパの町のちがいがおもしろい。ヨーロッパの町は、高いところから見下ろすとたいへん美しい。一方、日本の町のほとんどは、上から見てもあまり美しくない。 ところが家の中に入ると、ヨーロッパの建物は「おそろしく不細…

#9 伊坂幸太郎『ラッシュライフ』★★★

偶然の一致というのは、小説や映画ではなかなか扱いにくい。現実では起こり得ることでも、フィクションだと「ご都合主義」と言われ、バカにされる。 伊坂幸太郎は、この「偶然の一致」を扱う名手だと思う。必然と偶然のすれすれのところを、この人は実にうま…

#5 宮部みゆき『初ものがたり』★★★

今や流行作家どころか大御所になってしまった宮部みゆきだが、本書は単行本初版が平成7年だから、初期とは言わないがまだ売れっ子になり始めたころの作品だ。ぴしりと結構が決まっていて、描写も過不足なく引き締まっている。それでいてじんわりとした味わい…

#4 中村靖彦『ウォーター・ビジネス』★★★

人は石油がなくても生きていけるかもしれないが、水がなければ生きていけない。にもかかわらず「地球上に存在する水を風呂桶一杯の水と仮定すると、人間が自由に使える水はわずか一滴」(p.24)。したがって、水をめぐる問題は今も世界中で起きているし、これ…

#2 呉智英『読書家の新技術』★★★

奥付をみると1987年初版と書いてあるので、30年前の「新技術」ということになる。読書カードや新聞書評の読み方、スクラップブックの作り方など、時代を感じる部分が多い。またそれとは別に、著者ならではの、というか、新聞記事への揚げ足取りや他の論者へ…