福祉読書365

福祉に関連する書籍を365冊セレクトします。「もっと良い本があるよ!」という方、ぜひ教えてください。

No.018 中村雄二郎『臨床の知とは何か』

 

臨床の知とは何か (岩波新書)

臨床の知とは何か (岩波新書)

 

 

 

「普遍性」「論理性」「客観性」という3つの原理をもつ近代科学は、その後の知のあり方を根本的に変えた一方、かかる原理によって捉えきれない部分は学問の対象とはされず、見落とされ、あるいは見捨てられてしまった。だが、果たしてそれで「現実」そのものを捉えることはできるのか。本書は近代科学に対抗するものとして「臨床の知」を掲げ、その原理として「コスモロジー」「シンボリズム」「パフォーマンス」を挙げる。それは言い換えれば、事物の固有性であり、相似や類似に基づく象徴性であり、自らの身体によって営まれる行動性なのだ。近代哲学の流れを知らないといささか読みにくい部分もあるが、福祉や介護を含む(本書には医療に関する記述が多いが)現場に身を置く人こそ知っておくべき「知」のありようが、ここには精密に記述されている。