福祉読書365

福祉に関連する書籍を365冊セレクトします。「もっと良い本があるよ!」という方、ぜひ教えてください。

No.020 米本昌平ほか『優生学と人間社会』

 

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

 

 

 

子どもを産むという「生産性」で人間を測るがごときおぞましい妄言を現職の国会議員が吐き、所属する最大与党がその発言を許容する。さすがは「優生保護法」を長年にわたり温存し、強制不妊手術を繰り返してきた「文明国」である。そもそも、強制不妊手術の存在自体、法が廃止されてから20年以上の間、マスメディア等にはほとんど取り上げられてこなかった。本書はその間に書かれた一冊であるが、優生学の発生から国ごとの比較、日本における法制定のプロセスから、出生前診断遺伝子工学といった「現代の優生思想」に至るまでを丹念に辿っており、優生学の歴史を概観するにはおススメだ。ナチスドイツと結びつけられることも多い優生思想だが、その起源はむしろイギリスとアメリカにあったこと、ワイマール共和国や北欧諸国に見られるように、社会福祉優生学には密接な関係があったことを、特に福祉関係者は知っておくべきである。