福祉読書365

福祉に関連する書籍を365冊セレクトします。「もっと良い本があるよ!」という方、ぜひ教えてください。

No.022 黒川祥子『誕生日を知らない女の子』

 

 

 

児童虐待を扱った本は数多いが、「その後」を書いたものは少ない。だが、それは虐待が「保護して終わり」「分離して終わり」ということではない。本書は真摯で地道な取材によって、施設や里親に預けられた後の子どもたちの姿を追った一冊だ。そして読むうちに、もうひとつ、この本が他の類似書籍と違う点が見えてくる。本書は徹底して、虐待を受けた「子どもたち」の側から書かれているのである。親を断罪したり、社会を憂えたり、そんな評論家みたいなことをしても、それで今目の前にいる子どもたちがどうにかなるわけではない。今目の前にいる子にどう対し、どうかかわっていくべきか。そんな現場の切実さの中に身を置く以外に、できることはないように思われる。