福祉読書365

福祉に関連する書籍を365冊セレクトします。「もっと良い本があるよ!」という方、ぜひ教えてください。

No.030 篠田節子『長女たち』

 

長女たち (新潮文庫)

長女たち (新潮文庫)

 

 

 

かつて『女たちのジハード』で戦うキャリアウーマンを活写した篠田節子が、まったく別の「戦い」に身を投じる女性たちを描いた。「あんたが嫁に行ったら、誰が私の面倒を見るの」。ヘルパーを拒否する骨粗鬆症認知症疑いのある母、糖尿病なのに娘の作る食事には手を付けず、ケーキを隠れ食いする母。介護に身を投じるため、仕事を捨て、恋を諦める長女たち。苦悩と葛藤、憎悪と後悔の果てに見えてきたものとは……? さらに「家守娘」「ファーストレディ」の2編に挟まれた異色の短編「ミッション」では、日本人の生死観そのものを問いなおし、本書全体を不思議な光で照らし出す。練達の作家が「母」と「娘」のドラマを通じて、わたしたちの目の前に横たわる日本社会の深淵を照らし出す。