福祉読書365

福祉に関連する書籍を365冊セレクトします。「もっと良い本があるよ!」という方、ぜひ教えてください。

No.037 石井光太『浮浪児1945』

 

浮浪児1945‐: 戦争が生んだ子供たち (新潮文庫)

浮浪児1945‐: 戦争が生んだ子供たち (新潮文庫)

 

 

 

先日のNHKスペシャルは、戦災孤児を取り上げていた。なかなか正面きって扱われることのない、というかみんなが見て見ぬふりをしてきた問題を真正面から扱う姿勢には、NHKの矜持を感じる。もっとも、そういう「みんなが見ないことにしている」テーマをしっかり取り上げるという点については、この著者もなかなかだ。戦災孤児も、NHKより1年前に本になっている。しかもこれは、長年にわたり世界各地のすさまじい貧困を取材してきた著者ならではの視点で、近代日本における「絶対貧困」に斬り込んだ労作なのだ。主人公は、終戦直後、家族を失い、上野の地下道にあふれかえった浮浪児たち。誰もが食うだけで精一杯だったあの時代を、子どもたちはどのようにして生き延びたのか。そして、大人たちはそんな子どもたちをどのようにして支えたのか。いずれにせよ、わが国の児童福祉は、この戦後の焼け跡からはじまった。