福祉読書365

福祉に関連する書籍を365冊セレクトします。「もっと良い本があるよ!」という方、ぜひ教えてください。

No.041 アンソニー・ドーア『メモリー・ウォール』

 

メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス)

メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス)

 

 

自分とは何か。一つの答えとして「自分とは記憶である」というものがある。過去の記憶と現在が連続性をもっているからこそ、過去を経た現在の「わたし」がある。だが、認知症になって記憶が失われるようになったら? そして、その記憶がカートリッジに封じ込められ、いつでも再生できるとしたら?

 

そんな不思議な物語「メモリー・ウォール」をはじめとして、本書には「記憶」をめぐる短編6つが収められている。ダムに沈む村の前日譚、ナチス統治下のドイツからアメリカに逃れたユダヤ人の少女など、内容はバラエティに富んでいるが、どこか共通する空気が漂っている。それは目に映る自然の美しさと、人生をいとおしむ気持ちがもたらす煌めきなのかもしれない。