百円読書(税別)

百円で買った本を読み、ノートします。

#2 呉智英『読書家の新技術』★★★

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奥付をみると1987年初版と書いてあるので、30年前の「新技術」ということになる。読書カードや新聞書評の読み方、スクラップブックの作り方など、時代を感じる部分が多い。またそれとは別に、著者ならではの、というか、新聞記事への揚げ足取りや他の論者への執拗な批判が長くて鼻につく。

もっとも、合間合間に今でもハッとするような読書に関するヒントがちりばめられていて、30年経っても実用性が失われていないのは、考えてみれば凄いことだ。中でも体験に照らして当たっていると思ったのは「読書は500冊読むと『段位』が上がる」というくだり。

ところで巻末のブックガイドは今見てもなかなか面白いが、読書ビギナー向けとしてはちとハードルが高い。カール・シュミット政治学の初心者に勧めるのは、面白いとは思うけど。

 

「家業の豆腐屋を継いだ人は、豆腐屋豆腐屋の論理でちゃんと儲けつつ、知の世界も見る。中小企業をいじめる大企業の幹部となった人は、中小企業をちゃんといじめつつ、知の世界に志を持続する。つまり、近代教養の崩壊後の世界に、近代教養の最も良い遺産を送り届けるのである。これが知のゲリラ戦士の工作であり、要務なのだ」(p.95)

 

※この引用に対して、一言だけコメント。これでは「家業の豆腐屋」や「大企業の幹部」と、読書が切り離されてしまう。知の世界は、自分の生活や仕事と切り離してはいけないと思うのだが、どうだろうか。