百円読書(税別)

百円で買った本を読み、ノートします。

#6 『ホセ・ムヒカ 世界で一番貧しい大統領』★★★

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実に変わった大統領だ。ゲリラ出身で投獄経験あり。車に乗る時は必ず助手席。儀礼を嫌い、自分で料理もし、報酬の大部分は寄付してしまい、そしてネクタイは絶対にしない。そんな男が、国民から「ペペ」と親しみを込めて呼ばれ、5年にわたりウルグアイの大統領を務めたのだ。

 

本書は、19年にわたる密着取材の成果を凝縮し、元大統領の人となりを浮き上がらせた秀作だ。面白いのは、大統領が特定のイデオロギーにまったく染まっていないこと。むしろこの人は、徹頭徹尾リアリストなのではないか。拠って立つものは「一般常識」。報酬の大部分を寄付してしまうのは、庶民と同じ「生活スタイル」を維持したいから。

 

「一般市民と統治者の間にアパルトヘイトが生じることがある。生活スタイルというのは一見取るに足らないことのように見えるが、そうじゃあない。そこには政治家に対する不信感もある。国民は、大統領になるやつはみんな同じだと思っていて、最後には政治にものすごい不信感を持つようになるんだ」(p.101 ホセ・ムヒカ発言部分)

 

だから、タイトルの「世界で一番貧しい」という表現は、実はやや不正確。貧しいのではなく、そうした生活スタイルを意識して維持しているのだ。国民の意識との乖離が生じないように。特定のイデオロギーではなく、国民の生活に足場を持てるように。